障害年金がもらえない場合
1 障害年金がもらえない場合
障害年金は、所定の要件をすべて満たしていないと受給が認められません。
要件は、大きく分けると、①原則として初診日に公的年金制度に加入していること、②年金保険料が一定以上納付されていること、③一定の障害の状態にあることです。
これに対して、障害年金をもらえない場合として多いのは、①初診日が特定できない、②年金保険料が一定以上納付されていない、③一定の障害の状態にないの3つが挙げられます。
以下、場合ごとに説明いたします。
2 初診日が特定できない
障害年金の申請では、原則として初診日(障害の原因となった傷病について初めて医療機関を受診した日)が特定されている必要があります。
初診日時点で国民年金に加入しているか厚生年金に加入しているかで、申請する障害年金の種類が障害基礎年金か障害厚生年金か分けられますし、障害認定日(障害の状態を評価する基準となる日)も、初診日から1年6か月後とされているため、初診日の特定は障害年金申請の手続き上重要です。
「初めて医療機関を受診した日」ですので、同じ傷病で別の医療機関に転院した場合でも、あくまで最初の医療機関に初めて通った日が初診日であり、基本的に転院によって初診日は変動しません。
厳密に日付まで特定できなくても、ある一定期間に初診日があると証明できれば足りるといった場合もありますが、「何度も病院を変えていて最初の病院がどこか分からない」「最初に行った病院がもう閉院してしまった」等という理由で初診日の証明ができず、あるいは資料が不十分と判断されて初診日を特定できたと認められず、障害年金がもらえない場合があります。
3 保険料が一定以上納付されていない
障害年金は、老齢年金と同じく年金制度からの給付の1つに位置付けられます。
そのため、基本的に所定の保険料納付要件を満たしていない場合には障害年金の受給は認められません。
具体的には、初診日の前日時点において、初診日の属する月の前々月までの期間につき、①直近1年間に未納がないか②公的年金の加入期間の1/3を超える未納がないかのいずれかを満たす必要があります。
例えば、2020年4月10日が初診日の場合、2019年3月分から2020年2月分までの1年間に未納がなければ①を満たすことになります。
①を満たしていない場合でも、例えば公的年金の全加入期間が29か月分であると仮定して、そのうち未納月が9か月までであれば、②を満たすため納付要件は満たされることになります。
未納の保険料は納付期限が経過した後から追納することができますが、要件の確認は上記のとおり「初診日の前日時点」で判断されるため、初診日以降に未納を解消したとしても、納付要件の判断の際には未納と扱われることになります。
なお、保険料納付義務が生じる20歳より前に初診日がある場合は、通常20歳前傷病による障害基礎年金の申請となり、この場合保険料納付要件自体がありません。
4 一定の障害の状態にない
障害の状態については、障害認定基準に基づいて、日本年金機構によって判断されます。
どのような傷病による障害かによって、検査数値が一定以上とされているものや、診断書上の医師の評価等が参照されるもの、所定の状態(四肢の切断や人工関節、人工臓器等の挿入や人工透析等)を所定の等級と関連付けているもの、日常生活状況等の総合的な判断に委ねられる場合等があります。
特に、数値等の客観的な基準がないものについては、結果の予測が難しいことから、申請する側が期待していたより低い等級の認定となったり、障害年金の受給が認められなかったりという結果になることがあります。